皮膚がんの特徴

悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)

皮膚がんの中でも最も悪性度の高いがん

悪性黒色腫は、皮膚がんの中でも最も悪性度の高いがんです。メラノーマという名称で呼ばれています。
身体のどこにでもできますが、日本人の場合は特に足の裏に多いのが特徴です。
しかし、手足の爪の下や爪のまわりにできることもしばしばあります。
日本人の場合、悪性黒色腫は人口10万人あたり、年間1~2人ずつ発生すると言われています。
したがって、日本全体では毎年、1,000~2,000人の新規発生があるということになります。
この割合でいくと、富田林市(人口:約11万人)では年に1~2人は発生するということになります。

  • 上肢の悪性黒色腫 辺縁が不整です

  • 爪甲下の悪性黒色腫 爪が破壊されています

  • 足底の悪性黒色腫 進行例です

  • こんな小さい場合もあります

手術により取り除く

悪性黒色腫の治療は、手術です。
病変部にある悪性黒色腫細胞を完全に取り除ければ、治癒したと考えられるわけです。
最近は医学的知識が広く普及しており、たいていの患者さんは病期(病気の進行度)が低い段階で受診されるので、初回の手術で治る方の方が多いと思います。
ただ、がん細胞一つ一つまでは肉眼で見ることができないので、病変の周囲に離れて存在することもあり、念のために術後にインターフェロン(免疫を高める薬剤)を予防的に投与します。

免疫力を高めましょう!

ただ、残念なことに、最近の研究によれば、悪性黒色腫は病気の初期に他臓器に転移している可能性があると言われています。
したがって、手術で原発巣を完全に取り除いていたにも関わらず何年かの後に、患者さんの免疫力が低下した時に再発してくるケースもあります。
したがって、術後も定期的に検査をおこなってフォローアップする必要もありますし、患者さん自体も免疫力を高めるような食事や運動が重要と言えます。

玄米食のすすめ新食品成分表編集委員会,『新食品成分表2002』,一橋出版,2002.

精白米はお米から胚芽や外皮を取り除いたものです(左図)。玄米めしと精白米めしの栄養価を比較したのが右の図です。真中の茶色く、くしゃくしゃとした部分が精白米の各種栄養素の量です。ミネラルやビタミン類が玄米の10分の1以下になっています。ただ、急に精白米から玄米に切り替えるのはむつかしいので、米びつの中のお米に2-3割の玄米を加えることで始めましょう。

悪性黒色腫にありがちな特徴

皆様方が悪性黒色腫の診断をすることは難しいですが、ある程度、判断できるのが下の表です。悪性黒色腫にありがちな特徴をA~Eで示しています。これらの中で3個から4個くらいあてはまると悪性黒色腫の可能性が高くなります。是非、皮膚がん検診に来てください。

A   Asymmetry 上下左右が非対称
B   Border 境界が不規則
C   Color 色がまだら
D   Diameter 直径が6ミリ以上
E   Elevation 盛り上がっている

臀部の悪性黒色腫左右はどっちかと言えば対称かもしれませんが、右の方は染み出しがあり、矢印のところは赤くなっています(色がまだら)。大きさは4cmほどあり、明らかに盛り上がっています。

有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)

扁平上皮癌とも呼ばれる

他の診療科では扁平上皮癌と呼ばれていますが、皮膚科では昔から有棘細胞癌という名称が用いられています。悪性黒色腫に次いで悪性度の高いがんですが、死亡率などははるかに低いと思います。当科においても、過去15年間にわたってこの有棘細胞癌で亡くなった患者さんはお一人だけです。

顔面や四肢に多い

体中のどこにでもできますが、特に紫外線によく当たる顔面や外傷を受けやすい四肢に多いようです。たいていは1cm前後の肉色の塊といった病状を呈します。ただ、まれに、よくここまでと思うほど大きくなってから来られる方もいらっしゃいますので、早期に受診することで、治療も簡単になり、患者さんの負担も小さくなります。
このがんも手術が第一選択の治療になります。がん細胞の塊を完全に取り除いてしまえば、治療は完結します。ただ、残念なことに、そのような治療を行っても、リンパ節や他の臓器に転移してしまうこともまれにあります。

  • 左顎部の有棘細胞癌

  • 膝の有棘細胞癌

  • 左上眼瞼の有棘細胞癌

  • 右耳の有棘細胞癌

基底細胞癌(きていさいぼうがん)

紫外線が大きな要因に

悪性黒色腫や有棘細胞癌に比べると非常に頻度の高い癌です。特に顔面に多く発生します。つまり、紫外線が癌発生の大きな要因になっています。臨床像はたいてい“黒いかたまり”と呼ばれるような形で、表面には蝋様光沢を有することが特徴的です。顔面が好発部位なので発見されやすく、小さな病変で受診される方がほとんどです。この癌は、他の臓器に転移することはほとんどなく、命にかかわるということはありません。ただ、局所破壊性に奥へ奥へと入っていくタイプがあり、例えば鼻翼に発生した場合は鼻の穴が3つになってしまった症例を経験したことがあります。鼻周辺や眼の周辺にできたと時は要注意ということです。

左内眼角部の基底細胞癌    左内眼角部の基底細胞癌

  • 右ほっぺたの基底細胞癌

  • ダーモスコピーで見ると毛細血管の拡張が多数

ダーモスコピーによる診断

この癌の診断には特にダーモスコピーが有用です。ダーモスコピーは2000年頃から本邦でも広く使われだした皮膚科医必携の診療器具です。この器具は、皮膚の表面の色調だけでなく、皮膚の中にある、メラニン色素なども観察することが可能なのです。つまり、スーパーマンのように透視ができるのです。

上の症例は右のほっぺたの基底細胞癌ですが、臨床写真(左)ではかさぶたしか見えません。しかし、ダーモスコピーで見ると多数の毛細血管拡張が観察され(右)、基底細胞癌の診断の根拠の1つになります。

    最新式のダーモカメラ(ダーモスコピーとカメラが一体化している)


  • 左下眼瞼の基底細胞癌

  • 表在型の基底細胞癌

日光角化症(にっこうかっかしょう)

農業や漁業に携わっていた方は要注意

日光角化症は、その名の示す通り、長期にわたる紫外線暴露が原因となります。顔面や手背など日光に暴露されやすい場所に赤くてざらざらした臨床像を呈します。長年、農業や漁業に携わっていた方は要注意です。病変は表皮内癌といって、皮膚の最も浅い部位のみにがん細胞があるので、この段階で転移したりすることはありません。ただ、何もしないで放置してると、徐々に進行して先に書いた有棘細胞癌に進展し、それでも放置していると他臓器に転移してとりかえしのつかないことにもなります。

  • 左こめかみの日光角化症

  • 右こめかみの日光角化症

  • 右耳の日光角化症

  • 鼻の日光角化症

ベセルナクリーム

ベセルナクリーム

日光角化症の治療は、他のがん腫と同様に手術治療が基本でした。ところが、2007年にベセルナクリームと言う抗がん剤の塗り薬が発売になりました。

このお薬は1日1回、就寝前に週3回塗ります(月・水・金 あるいは 火・木・土)。
4週間塗ることで日光角化症が治ってしまう症例もあります。また、4週間の休薬期間の後、さらにもう4週間塗ることで治る場合もあります。
ただ、病変の厚みや表面の角質増殖の程度によっては効果が弱い場合もあり、有効率は60~70%と推定されています。

長所と短所

手術治療と外用治療の長所・短所は下の表に示す通りですが、多発例や手術が怖い患者さんには外用治療が適するかもしれません。その他、液体窒素による凍結療法もありますので、よく主治医の先生と相談するのがベストです。

  手術治療 ベセルナクリーム
方法 病変を切除し、場合によっては皮膚の移植を行います。 週に3回、就寝前にクリームを塗ります。
治療後 傷跡は残ります。 炎症後の色素沈着を残す場合があります。
外来・入院 場合によっては入院が必要。 自宅で塗ってもらいます。
確実性 ほぼ確実に治ります。 有効率は60~70%。
治療期間 1~2週間 1~3か月

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